日経で気になる記事をみつけました。
息子が通信の学校見学に行った昨年、すでに学校側から全体の高校生の1割が通信制高校になると聞いておりました。
■実体験をどう評価するか
息子の通う通信制高校でも、実体験を伴う特別スクーリングがいくつもあります。たとえば、スヌーピー博物館を訪れて英語に触れる授業や、沖縄で地域の歴史や風土を学ぶプログラム。どちらも体験したあとにレポートを提出し、それをもって履修とする仕組みです。
一見すると「遊んでいるだけでは?」と思われがちな取り組みも、実際には子どもたちにとって大きな意味があります。特に不登校を経験した子どもにとっては、社会から切り離されていた自分を「もう一度つなぎ直す」機会になるのです。
もし義務教育の時期に、学校生活のなかで十分に社会との関わりを経験できなかったとしたら。通信制でのこうした実体験型の学びは、「学び直し」であると同時に、子どもたちの未来へとつながる大切な一歩になるのだと思います。
記事にある「お釣りの計算」で数学を履修したことにする。というのは高校数学の内容ではありませんし、それだけで数学の履修というのは無理があるとは思いますが、それでも、不登校や引きこもりであった子にとっては、社会への第一歩であり、学び直しのスタートラインでもあります。教科科目の知識習得というよりは、社会活動や実体験を通して学んだことを評価する場と位置づけられるのではないでしょうか。ここにこそ、「学びの質」をどう定義するのかという大きな問いが潜んでいます。
■二つの異なる役割
通信制高校には、少なくとも二つの異なる役割が混在しています。
-
高校卒業資格を得るための通信制
進学や就職を見据えて、一定の学力を修得し卒業資格を得ることを主な目的とする層です。総合型選抜(旧AO入試)や海外進学を目指す生徒も含まれ、学問的な学びに重きを置きます。 -
学び直しのための通信制
義務教育期に十分に学べなかったことや、学校生活そのものから離れていた経験を取り戻す層です。時には「買い物でお釣りを計算する」ことすら、本人にとっては大切な学び直しとなります。これは形式的に単位認定することの是非とは別に、その子にとっての必然的なプロセスであることを見逃すべきではありません。
■制度設計への提案
現状の通信制高校は、資格取得と学び直しの二つの役割が曖昧に同居しており、制度的にも教育内容的にも中途半端になりがちです。
このように分けて制度設計を行うことで、通信制に通う生徒一人ひとりの学びをより適切に支援できるはずです。
■おわりに
通信制高校の急増は、不登校の広がりを背景とした“結果”であると同時に、多様な学びを可能にする“可能性”でもあります。その多様性を単なる「質の低下」として切り捨てるのではなく、むしろ「子どもたちに必要な学びの形」としてどう制度化していくのか。いま、教育に問われているのはその柔軟さと想像力ではないでしょうか。