子どもたちは「感じて、選ぶ力」を育てながら、自分の人生を描いていく。
そう考えると、今の一律な義務教育では足りないことが見えてきます。
体験重視の前半と、個性を育てる後半──あらたな“2段階制義務教育”という提案をお届けします。
■ なぜ、今「段階的な義務教育」が必要なのか?
現在の日本の義務教育は、6歳から12歳までの小学校と、13歳から15歳までの中学校という「6・3制」が基本です。
この制度は長年続いてきましたが、現代の子どもたちが抱える課題に本当にフィットしているのでしょうか?
一斉授業・学年一律・評価偏重──
そんなシステムのなかで、「感じる力」「個性」「選ぶ力」は、どれだけ大切にされているでしょうか。
今、必要なのは、一律の知識を詰め込む教育ではなく、発達段階に応じて「体験」や「選択の自由」を丁寧に保障する仕組みではないか。
そうした問題意識から、筆者は次のような「2段階義務教育構想」を描いています。
【第1段階】4歳〜10歳:体験重視・感性基盤の学び
この時期は、感性・創造力・好奇心の土台を育てる時期。
思いっきり遊び、感じ、驚き、表現する。そうした体験が心の知能指数(EQ)や非認知能力を育てます。
● 具体的な内容
-
自然体験・アート活動・身体表現・ごっこ遊びなどを中心とした学び
-
絵本の読み聞かせや自由な創作活動を通じた、自己表現の機会
-
読み書きや計算も、興味に応じて自然に学べる環境づくり
● 海外の事例
フィンランドでは、小学校1〜2年生までに成績表はなく、「遊びから学ぶ」体験が重視されます。
スウェーデンも、7歳までは保育・就学前教育が一体となり、「自由な時間」が保障されています。
【第2段階】11歳〜13,15歳:選択と探究の学び
この年代は、「自分で選ぶこと」「探究すること」に目覚める時期です。
「なぜ勉強するのか」「自分は何が好きなのか」といった問いが芽生えはじめます。
● 具体的な内容
-
子どもの興味に応じて、選択科目制やプロジェクト型学習を導入
-
スポーツ・アート・プログラミング・農業・地域活動など、実体験を重視
-
必修科目と選択科目のバランスをとりながら、学びの幅を広げる
● 外部活動の活用
学校の外での活動も「学び」として認め、ポートフォリオや記録評価でその成長を見守る制度設計が可能です。
■ 一律から多様へ。“伴走型教育”へのシフト
この2段階構想で大切にしたいのは、**子どもの発達に合わせた「教育の質」**です。
-
教師は“知識を教える存在”から“学びの伴走者”へ
-
子どもは“評価される存在”から“自分で学びを選ぶ存在”へ
学校という場の役割も、“すべてを担う”のではなく、地域や民間とつながる学びのハブとして再定義されるべきです。
■ おわりに 〜 制度が変われば、子どもも変わる 〜
「もっと自由に感じていい」
「自分で選んでいい」
そんなメッセージが届く義務教育へ。
感じる力を育む前半と、選ぶ力を伸ばす後半。
この“2段階制”は、子どもたちの可能性をもっと自由に伸ばせる仕組みです。
私たち大人が、制度や環境を見直すことで、
子どもたちが「学びたい自分」に出会える未来をつくれるのではないでしょうか。